2007年8月20日

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映画とかかわって27年になります。2000年制作の「ザ・ワン」の北京でのプロモーション中、僕はこんなことを言いました。「ジェット・リーの作品は観 なくてもいいですが、中国の映画はぜひ見てください。」と。この数年で中国の映画が飛躍的に進歩したことをうれしく思っています。観客数も増え、興行成績 も上昇しています。

欧米で撮っていると、映画は産業なんだな、と感じます。中国の映画を国際的に成功させたいということは、何か特別な1作品が成功すればいいという問題では ありません。中国の映画産業全体が国際的にならなくてはいけないのです。中国人の映画製作者として、中国の映画が世界的な影響力を持つことを望むことはあ たりまえです。今のところ、注目されるのは特定のプロデューサーや役者、あるいはアイドルの登場するテレビ番組などです。豊かな才能が発掘できるわけです から、それに異議を唱えるわけではありません。しかし、中国の映画を輸出するという観点から見たり、そして中国で外国作品を撮っていると、様々な制作上の 問題が生じてきます。国家的な映画会社を作るための素地はしっかりとしたものでなければなりません。僕は、中国の映画学校やプロの撮影班のトレーニングプ ログラムを通して、優秀な裏方を育てるきちんとした計画が必要だと思います。

国際的な映画産業に参入するには、プロの裏方を育てる必要があります。様々な調整が要ります。助監督や、プロデューサーや、メークアップアーティストや、 大道具さんや、運送や食事の準備をする人や。国際的な映画産業が確立している国では、これらのあらゆる分野の仕事がプロによって行われています。例えば、 運搬では、映画の撮影のじゃまにならないように、どのように効果的に配車し、駐車場のスペースを確保したらいいのでしょうか。様々な分野の専門的なトレー ニングがあれば、長い目でみれば時間やお金を節約することになるのです。裏方の目的は監督の観点を支え、監督に可能な限り最高の技術的、創造的支援を与え ることです。

言語トレーニングもとても大事です。広東語や英語で、撮影用語を理解する必要があります。例えば、国際的な共同製作では、監督と助監督が英語でコミュニ ケーションをとることがあります。現場の周りの人は分かっていません。あるいは、北京語をうまく話せない香港の助監督がいるかもしれません。この助監督は どう監督を手助けすることができるでしょうか。状況が慌ただしくなってくると、誤解や不幸が簡単に起こります。

僕の初期の作品にかかわった人々で、何年も苦労した後にプロデューサーになった農民がいます。僕はこの人達の自主的な努力の結果を嬉しく思っています。こ のような人達を訓練するシステムがあれば、真に国際的な映画産業への道を進んでいけます。

しっかりとした映画産業を持つ国は、俳優だけを考えているのではありません。裏方も重要な要素です。映画製作はチームワークであり、スクリーン上もその裏 側でも才能を必要とします。俳優を育てる映画やテレビ番組はたくさんありますが、映画産業で働こうという熱意のある人達を訓練する専門的なトレーニングシ ステムが必要です。

どうやってそんなシステムを作ったらいいのでしょうか。あらゆる分野の専門家が一つになり、問題を話し合い、効果的な計画を立てる必要があります。そうす れば将来的に、大きな映画会社が中国に撮影に来たら、あらゆる分野で監督と共同作業をするプロの裏方を見つけることができるようになるでしょう。しかし、 これを実現するには、価値のある議論を行い、様々な点について現実的に考える必要があります。

才能を育てることとは別に、採用方法や金融機関、保険についてのルールなど、欧米の映画産業のルールや規制について話し合い、深く理解する会合を持つこと も、この計画に含まれなくてはなりません。欧米の良い点を学び、実行可能な中国の映画産業を創り出すためにその知識を応用しなくてはいけません。急速な映 画産業の発展にともない、これからの数年間は専門的なトレーニングプログラムや技術学校を立ち上げる重要な時期になるでしょう。

以上、皆さんと共に考えてみたかった事についての、僕のつつましい意見です。